過去最大級、火力発電設備の輸送計画設計

東芝グループ過去最大級の火力発電プロジェクト。
長い年月をかけて製作された超重量品の輸送搬入に挑む

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過去最大級の火力発電プロジェクト

現在、電力会社様で進められている火力発電所のリフレッシュ工事。これは、今まで使用していた石油を燃料とする発電設備を撤去し、新たに液化天然ガスを燃料とする発電設備を建設するものです。発電設備は、HRSG(排熱回収ボイラ)、発電機、ガスタービン、復水器、蒸気タービンなどの様々な大型機器がありますが、それらの機器を東芝グループで受注することができ、その規模は東芝火力発電プロジェクトの中でも過去最大級のものでした。発電所のプロジェクトの場合、当社単独というわけではなく、設計、製造、プラント工事、輸送搬入などに関わる東芝グループの各会社から構成されます。当社は輸送搬入を担当しますが、輸送工程やコスト、その他輸送条件を含めた計画も受注を左右するため、役割は大変重要です。
私が2014年に入社したときにはすでにこのプロジェクトは始まっており、受注および先行計画には関わることはできませんでしたが、本工事の詳細計画から計画担当として関わっています。輸送搬入グループは、計画担当が2名、現場責任者が5名、作業員を含めると最大60~70名の大所帯でした。入社したてで、ほとんど経験がない状態で参加することにもちろん不安はありましたが、何より東芝グループ過去最大級のプロジェクトに関われることがうれしく、絶対にこのプロジェクトを完遂させるという強い気持ちで臨みました。

まさかの12.5mm

復水器の搬入(様々な工法がありますが、今回はスライドレールという鋼材で製品を乗せる道を作り、その道の上を油圧ジャッキにて製品を引っ張りながら建屋の中に入れていく工法)に際して、幅が約10mの製品を搬入するにも関わらず、先行計画の段階で搬入建屋の有効寸法幅と製品幅寸法との差が47mm、つまり隙間は片側23.5mmしかないという大きな問題の中で引き継ぎました。建屋の寸法はすでに変更が効かない状況になっていたため、機器の寸法を変える方法しかありませんでした。
そのため、設計グループに現状の搬入計画が厳しい状況にあることを説明し、機器の幅寸法を小さくしてほしいと依頼をしました。しかし、機器性能の関係上不可能ということだったので、製作誤差で寸法が大きくならないように何度も設計グループと製作グループに確認をしながら、機器製作を進めてもらいました。

TBK/KY(作業内容確認および危険予知ミーティング)
TBK/KY(作業内容確認および危険予知ミーティング)

そして、ここからが本番です。詳細搬入計画の立案を協力会社と共に毎日遅くまで検討しました。メールや電話では、正確に考えを伝えられるか不安でしたので、顔を合わせて計画を詰めていきました。搬入時に機器がぶれて曲がって進入しないようにするためにベストな工法や使用機材の選定、また、曲がって進入してしまった場合のバックアップの方法など、考えられるリスクを全て潰しながら詳細搬入計画をたてました。 これで何とかうまくいくと安心していたのも束の間、搬入建屋が完成した連絡を受けたため、現地に行き搬入路の確認したところ、搬入建屋の有効寸法幅と製品幅寸法との差が25mmと当初の計画から22mmも狭くなっており、隙間がなんと片側12.5mmになってしまいました。しかし、23.5mmの時点で狭小部の搬入計画やリスク回避の方法は決まっておりましたので、あとは現場責任者と作業者とで、いかに計画通りの段取作業(スライドレールの設置)が実施できるかを確認してもらい、トランシットを使用し、スライドレールを1mmの狂いもなく真っ直ぐ水平に敷設しました。その結果、無事に最狭小部を通過し、搬入作業を完了することができました。

プロジェクトを終えて

今回のプロジェクトを通して、コミュニケーションの大切さと、やりぬくことの大切さを学びました。 ミリ単位での搬入にあたって、社内からも多くの反対がありました。確かに極めて厳しい条件ということは、自分でも分かっていましたが、実作業に至るまでに作業に関わる多くの部門の人たちと顔を合わせて計画を進めてきましたし、何度も何度も計画の練り直しや現場確認をしてきたため、搬入できるという自信がありました。その最大の理由は、日々のコミュニケーションにより信頼関係が気付けた現場責任者や協力会社(実作業班)の「搬入できるよ」という言葉があったからです。通過した瞬間の、あの鳥肌が立つほどの感動は今でも鮮明に覚えています。
厳しい状況でも諦めずに、様々な課題や問題にもチーム全体で協力して立ち向かった経験は、私に大きな自信を与えてくれました。今後も関係者とコミュニケーションをしっかりと取りながら、メーカー物流ならではの機器設計から輸送搬入までの一連した輸送計画の設計を行い、各工程で活躍できるエンジニアに成長していきたいです。

プロジェクト紹介

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