半導体倉庫立ち上げプロジェクト

高品質半導体倉庫をリモートで立ち上げ
アフターコロナのニュースタンダードに挑む

高品質半導体倉庫をリモートで立ち上げ<br>アフターコロナのニュースタンダードに挑む

繊細な品質管理が必要な半導体倉庫

半導体は製品の特性上、倉庫において非常にシビアな品質管理が求められます。温度や湿度の厳密な管理や静電気放電(ESD)対策、従業員の作業量や作業品質の認定、作業ミスの事前回避策検討など、他製品の倉庫運営よりも格段に気を配らなければならないのが特徴で、倉庫を立ち上げる際には荷主側の監査を受け、倉庫認定を取得しなければなりません。
しかし2020年4月に開設が決まったシンガポールの新倉庫では、世界中に広がった新型コロナウイルス感染症拡大の影響で私たちが現地へ赴き、立ち上げ準備や現地スタッフへ直接指導をすることができませんでした。5,000キロメートル以上離れた日本から、どのようにして厳しい水準をクリアしうる倉庫をスムーズに立ち上げるか。それは、これまで数々の半導体倉庫を立ち上げ、運営してきた私たちにとって、大きなチャレンジとなりました。

入社1年目の社員が活躍

備品やツールの保管場所、無駄のない安全な作業動線、静電気対策を行う機器やマット類のベストな配置場所、現地スタッフへの的確な指導……などなど。半導体倉庫の立ち上げでは検討事項が山積みです。当初はビデオ会議を利用して立ち上げ準備を試みましたが、タイムラグと画質の劣化によってうまくコミュニケーションが取れません。そこで現地スタッフに撮影してもらった倉庫内の映像や作業動画に対し、レビューや改善点のフィードバックをし、また改善後の動画を送ってもらうという作業を繰り返したのですが、やはり細かな作業パートについては繊細なニュアンスがうまく伝わらないのです。

ベテランから新人までチーム一丸となって困難にチャレンジ
ベテランから新人までチーム一丸となって困難にチャレンジ

そこで私たちは現地スタッフが理解を深め納得感を高めるために、作業内容とその背景、生じうる疑問とそれへの回答などをまとめて、マニュアルとして先方へ送ることにしました。そして、それにより現地スタッフの力量を向上させることができたのですが、そのマニュアルづくりで活躍してくれたのが、当時入社1年目の社員でした。
「自分が実習で半導体倉庫の作業を経験した際にも感じたのですが、品質を確保するためにはどうしても作業量が多くなり、どこかしら手順を省略してしまいたくなるものです。しかし、もちろんそれはできません。数多い手順の意味を理解してもらうためには、一つひとつの作業に対して、なぜこれが必要なのか、どうすればスムーズに作業できるのか、もしやらないとどうなるのかなどを、図を交えながらなるべくシンプルに解説する必要があると感じました。正直、大変ではありましたが、経験の浅い自分だからこそ、現地スタッフの疑問点や起こしがちなミスを予測したマニュアルづくりができたのではないかと思います。立ち上げチームの一員として自分の意見を尊重してもらう機会も多かったですし、先輩方のサポートを受けながら、自分の仕事の意識も成長させることができたように感じています」

プロジェクトを終えて

コロナ禍でなければ、直接現地で半導体倉庫立ち上げに着手し、通常2カ月程度で完了しますが、今回初めて取り組んだリモート監修でのプロジェクトは、実に8カ月という長い期間を要しました。その後、荷主による書類審査や監査を受け、無事にオーダーどおりの倉庫品質で2021年3月からの稼働開始を実現し、今日に至るまで荷主からのクレームゼロも達成しています。新しい時代を見据えた挑戦でしたが、無事にスタートして品質を維持できている安心感がある反面、現地へ行くことができれば、更なる改善や効率化できるポイントを自分の目で見つけることができるのではないかという悔しさや、リモート監修による立ち上げ期間短縮の必要性を感じられたプロジェクトでした。
それでも若手の目線を生かした提案や経験者の視点による品質追求など、チーム全体がフラットに力を出し合ったおかげで、今後に向けて大いに知見を重ねることができたと感じています。ポストコロナの時代においては、これまでのように各地へ移動することなく、リモートを活用して様々なことにトライしていくのが当たり前になるでしょう。すでにリモート監査は各地で行われるようになっています。今回のプロジェクトで得た経験をブラッシュアップしていくことで、ニュースタンダードを築き上げ、国際的に活動の幅を広げていくための大きな武器を得た気がしています。

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