AI活用の検知警報システムによる庫内事故防止策
天井カメラで作業員とフォークの動きを探知
アラームで庫内での“人身事故”を未然に防ぐ
指差し呼称を音声で指示
倉庫などの物流現場では、従業員の安全確保や物損事故の防止を目的に、作業スタッフの歩行路やフォークリフトの走行路を確保するとともに、通行ルールを規定しているケースがほとんどです。それでもラック(棚)に段積みされたパレット荷物などが視覚を遮って死角となったり、慣れによって日々の行動に対する注意力が欠如してしまったりすることで、スタッフ同士やスタッフとフォークリフト、フォークリフト同士の衝突事故などが発生することがあります。
当社では、こうした人身・物損事故をなくすため、AIを活用した検知・警報システム「庫内安全支援AIシステム」を開発・導入しました。作業スタッフやフォークリフトが行き交う倉庫内の天井部分に複数台のカメラを設置し、作業スタッフやフォークリフトの行動を画像データとして収集してその行動パターンをAIが学習。蓄積・解析したデータに基づき、庫内で発生する不安全行為を検知し、作業スタッフやフォークリフトの運転手にアラーム(警告)を発したりすることで、事故を未然に防ぐという仕組みです。
例えば、庫内の主要交差点(通路が交わる場所)の天井に設置したカメラを通じて、「庫内安全支援AIシステム」が作業員やフォークリフトの動きを探知。スピーカーで指差しをしていない作業員に「指差し呼称」をするように音声で指示したり、プロジェクターで「止まれ」標識を床部分に投影して一時停止を促したりすることが可能になります。
安全行動の実施率が大幅アップ
現在、当社では、南関東支店・川崎倉庫、北関東支店・柏本部倉庫の2拠点で「庫内安全支援AIシステム」を活用しています。導入前、交差点における安全行動(指差し呼称・一時停止)の実施率は約30%にとどまっていましたが、導入後には約80%まで引き上げることに成功しました。庫内では、倉庫内安全パトロール担当者に代わって、同システムが休みなく不安全行為を監視できるようになったほか、音声による指示などによって、交差点を安全に通過するための手順を作業スタッフやフォークリフト運転手に意識させられるようになりました。
※歩行者・フォーク共にAI導入前は18日間、導入後は35日間の行動ログの平均値
機能拡張で作業生産性向上にも応用
「庫内安全支援AIシステム」の機能拡張にも取り組んでいます。具体的には、個人識別技術を新たに導入することで、個人識別した作業スタッフとデジタル化された作業実績を紐付けし、作業生産性アップに向けた課題抽出や改善の指導に役立てられる機能などを付加していく計画です。また、同システムは社内での活用のみならず、お客様へのソリューションとしての提供も視野に入れています。
さらに今後は「安全支援」の領域だけでなく、梱包・保管・検品といった作業プロセスにおけるAI活用も想定しています。例えば、取り扱う製品の画像や作業スタッフの状態をデータ化し、それに基づいて作業手順や検品結果を音声や画面で指示・伝達する仕組みとすることで、作業工程の標準化(熟練スタッフのノウハウやスキルに依存することのない現場づくり)や、作業ミスの回避などに役立てていきたいと考えています。
※本事例は東芝テリー株式会社との共同開発にて弊社倉庫に導入されたものです。
(東芝テリー(株) 映像IoTシステム導入事例)
https://www.toshiba-teli.co.jp/solution/case-study/imaging-system-solutions2.htm
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