半導体輸送のモーダルシフト化
半導体メーカーM社様の課題
- 航空便でスペース不足と運賃の高騰が発生
- トラック利用は1000km超の長距離輸送
- 排ガスなど環境負荷の増大が懸念材料に
上海〜香港間の輸送をモーダルシフト化
航空、トラック利用を鉄道に切り替えてCO2削減
新型コロナで航空便利用が困難に
中国・上海エリアに出荷拠点を置く半導体メーカーM社様は、主要取引先の販売拠点がある香港に向けた半導体製品の輸送に航空便やトラック便を利用してきました。物流管理業務を受託している当社では、M社様の製品をお預かりする当社の物流施設(上海市)で、ピッキング・梱包などを済ませた後、航空便利用の場合は、浦東空港〜香港空港を空輸(空港の両端はトラック利用)。トラック便の場合は、約1300キロメートルに及ぶ上海〜香港間(深圳経由)を長距離輸送する仕組みを構築していました。
ところが、この供給体制は新型コロナウイルス感染拡大の影響で見直しを迫られることになりました。中国国内において、旅客機や貨物専用機(フレーター)の欠航・減便などが相次ぎ、貨物の積載スペースが不足するとともに、航空運賃が高騰したためです。代替手段として、航空便と同水準の納品リードタイムを維持できるトラック便の利用比率を高めることは可能でした。ただし、長距離輸送に伴う環境負荷(CO2)の増大が懸念されました。

CO2の削減率は65%に
こうした課題を解決するため、新たに鉄道を活用することにしました。上海〜広州間(約1500キロメートル)を鉄道で、貨物駅の両端(計約200キロメートル)をトラックで運ぶというものです。納品リードタイムは、航空便やトラック便に比べ数時間程度長くなってしまうものの、出荷元・届け先の双方の同意が得られたことから本格的な運用をスタートしました。

トラックから鉄道へのモーダルシフトは環境面で大きな成果を上げました。上海〜香港間をトラックで運ぶのと比較すると、CO2の削減率は65%に達しています(2021年4月〜2022年1月までの実績)。また、同区間の輸送コストも従来よりも削減することに成功しました。
半導体輸送のモーダルシフト化のポイント
- 航空貨物の積載スペース不足と運賃高騰に対応し、最適な代替をご提案
- 鉄道輸送の採用で、CO2排出をトラック輸送より65%削減
- リードタイムの延長は2時間程度と最小限に
- 鉄道輸送利用によるコストは、従来の航空輸送よりも削減
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