VRを活用したフォーク荷役教育
事故を仮想体験させる“記憶に残る”教育で
フォーク作業員の安全・品質への意識が向上
「作業への慣れ」が事故を誘発する
フォークリフトによる荷役には、作業を安全に遂行するとともに、商品を破損させず品質を維持するための手順が決められています。しかし、物流現場でフォーク荷役の経験を積んでいくと、次第に作業員に“慣れ”が生じて、定められた手順に従わずに運用されるようになる傾向があります。

決められた手順でフォークリフトを操作しないと、どのような労災事故や物損事故を引き起こす恐れがあるのか。それを学ぶには、実際に“失敗を経験する”ことが最も効果があるとされていますが、物流現場で故意に事故を発生させるのは非現実的です。
事故を疑似体験し、安全意識を強化
そこで、当社では「VR(Virtual Reality=仮想現実)を活用した教育システム」を開発(株式会社積木製作との共同開発)しました。この教育・研修プログラムは、フォーク作業員に事故を仮想体験させられることが特徴の1つです。受講を通じた、フォーク作業員の安全意識向上や、作業手順遵守の実現などを目的としています。

カウンターフォークの操作を会議室で学ぶ
まず第一弾として2023年にリーチフォークリフトでの作業を対象にVR安全教育をスタートしました。このプログラムは、一例を挙げると①作業手順の指示または注意喚起のイントロ、②仮想空間での作業スタート、③チェックポイントでの事故体験、④第三者視点での事故俯瞰、⑤生じた仮想現実の読み上げ。心得の提示などの振り返り---------といったような流れで進んでいきます(囲み写真参照)。

注意喚起のイントロ




生じた仮想現実の読み上げ
心得の提示
そして2025年からは新たにカウンターフォークリフトを対象にしたVR教育も開始しました。カウンターフォークリフトでは、フォーク作業員が「ハンドル」「レバー」「ペダル」を操作する必要がありますが、仮想空間でのトレーニング用にこれらをコントローラー化したVRシステムを開発。会議室などの狭い空間での操作を可能にしました。


当社が開発・導入したフォークリフト作業教育用VRシステムには、偏重心であるアイテムの荷扱い方法を習得できる機能も備わっています。フォーク作業員は仮想空間でのトレーニングを通じて多様な形状をしているインデント制作製品などの荷扱い手順を学ぶことができます。

受講者の8割強が「手順の確認不足」を自覚
VRシステムには、安全な作業手順を実行しなかった場合に起こりうる「事故体験」を多数収録しました。研修を受けるフォーク作業員は、仮想空間で事故を起こした後、何が原因だったのかをきちんと把握した上で、再度「事故発生前」から操作(作業)を再開できます。

VRシステム導入後、研修を受講したフォーク作業員の85%が自身の手順確認不足を自覚できるようになりました。また、受講者の約半数が、実際の物流現場では遭遇しにくい「生々しい事故の現実感」や「指差し呼称や声掛けの重要性」について記憶に残ったと回答するなど、大きな成果を上げることに成功しました。
今後、当社ではVRシステムを活用した教育・研修プログラムをさらに充実させて、フォーク荷役による事故を発生させない安全で高品質な物流現場づくりを進めていく方針です。
共同開発:株式会社積木製作
https://tsumikiseisaku.com/result/sbs-toshibalogistics.html
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