物流施設における入荷業務の効率化
家電量販店向け物流施設の課題
- 入荷納品の待機車両数が1日20台と多く、待ち時間が長い
- ドライバーの労働時間を考慮した「2024年問題対策」への取り組みが必要
2024年問題対策でバース予約システムを導入
事務処理時間とドライバー待機時間の削減に成功
荷待ち発生は全体の3割に
時間外労働時間の上限規制強化に伴い、トラックドライバー人材不足の深刻化などが懸念されている「2024年問題」。ドライバーの労働時間短縮を実現するうえで欠かせない取り組みの1つとして、集荷先や納品先での「荷待ち時間」の解消が挙げられます。荷待ちとは、荷物を積み下ろしできる順番がくるまで現地で待機することで、その時間は30分から1時間、混雑している場合には数時間に及ぶケースもあるというのが実情です。

~南北バース使い分け~

「荷待ち時間」の問題は、当社においても早急に解決すべき課題の1つと認識されてきました。例えば、関西エリアで運営している家電量販店向け物流施設では、入荷(納品)の待機車両数が1日平均で20台に達していました。その割合は納品車両全体の約3割を占め、それぞれ30〜90分の荷待ち時間が発生していました。
その原因としては、①アイテムごとに荷物を下ろすバース(接車場所)が異なるため、複数アイテムを混載する車両は物流施設内で移動を余儀なくされるなど納品に時間を要している、②バースの割当といった納品車両の誘導業務は調整役(バースコントローラー)の経験と勘に委ねている、③納品車両の受付業務を紙ベースで処理している、④バースの空き状況を目視で確認し、接車場所の指示などドライバーへの伝達には電話や無線を用いている__ことなどが考えられました。
システム導入で「待機なし」が97%に
こうした現行体制の課題を洗い出した上で、改善に向けた具体策として「バース予約システム」を導入することにしました。「バース予約システム」は、前日までに収集する荷物情報(納品予定アイテム・数量など)や車両情報から、どのバースでどれだけの作業を処理するかを事前に算出し、その計画を基に、納品に訪れるトラック運送会社および担当ドライバーに対して、当日(翌日)何時何分にどのバースに接車すべきかを指示(誘導)できる仕組みです。
このシステムを採用したことで、①前日までのバース計画立案、②荷下ろし時間の自動計算、③納品車両の集中・混雑の分散、④バース使用状況のリアルタイムでの可視化(見える化)、⑤ドライバーへの接車指示の簡素化、⑥バース使用状況のドライバーへの周知、⑦納品受付業務の簡素化(ペーパーレス化)――などを実現しました。
その結果、同物流施設で発生していた「荷待ち時間」は大幅に解消されました。導入後の某月のデータでは、1日平均71台の納品車両に対して、「待機なし」が69台(全体の97%相当)に。また、従来は事務所での受付業務やバースコントローラーによる誘導などの作業に納品車両1台当たり約6分を要していましたが、これがバースの事前予約やSMS(ショートメール)での誘導などに切り替わったことで、正味30秒(従来比5・5分減)での処理が可能になりました。
事前予約制による計画的バース運用で『待機なし』が97%(69/72台)
before



after

システム導入による効果
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ドライバー配送手配業者の事前予約により前日のバース計画が可能に!
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荷降ろし時間も荷量と荷姿情報により自動計算できる!
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計画的なバース計画で車両の集中を分散できる!
このように「バース予約システム」について高い導入効果を確認できたことから、現在では同物流施設における出荷用バースでの活用や、他の当社施設での横展開などを検討しています。今後、当社では今回の「バース予約システム」導入のみならず、様々な先進的な試みを通じて「2024年問題」に対処していく方針です。
ポイント
- 属人的かつアナログな納品車両誘導・バース管理にメス
- 使用するバースを前日までに予約できるシステムを導入
- ドライバーの「待機なし」実現で2024年問題に対応
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