圧縮試験とは?
~圧縮試験の目的・実施手順・活用ポイントについて詳しく説明!

圧縮試験とは

圧縮試験とは、段ボール箱や包装貨物に上から荷重をかけて、どれだけの圧力に耐えられるかを確認する試験です。物流の現場では、荷物を積み重ねたり、ラックで保管したりする際に大きな力が加わることがあり、箱がつぶれてしまうと内容品の破損につながる可能性があります。圧縮試験は、こうした状況を想定し、包装の強度や安全性を事前に評価することを目的としています。

圧縮試験とは

試験では、荷物がどの程度の荷重でつぶれるのかを調べる「最大圧縮強度」や、一定の荷重をかけ続けたときにどれだけ変形するかを測定する「変形量」などを確認します。これらのデータをもとに、段ボールの材質選びや包装仕様の見直し、輸送時の破損防止策の検討が行われます。

圧縮試験は、日用品や家電製品はもちろん、精密機器や重量物など、さまざまな製品の安全輸送に欠かせない重要な評価方法です。安全性と品質を確保するために、多くの企業で採用されている代表的な包装試験のひとつです。

なぜ圧縮試験が必要なのか?その目的と重要性

圧縮試験が必要とされる理由は、物流の現場で荷物に「上積み荷重」がかかる場面が多いためです。上積み荷重とは、荷物を積み重ねたときに、上の段の荷物の重さが下の荷物にかかる力のことを指します。

倉庫で段ボール箱を保管する際は、複数段に積み上げることが一般的です。このとき、下段の箱には上段の重さがそのままかかり続けます。

圧縮試験とは

また、トラック輸送中でも、荷物同士が押し合うことで同様の力が発生する場合があります。こうした上積み荷重に十分耐えられないと、箱のつぶれや変形、内容品の破損、荷崩れにつながる恐れがあります。

圧縮試験を行うことで、どの程度の上積み荷重に耐えられるのか、どの段数まで積み重ねて保管・輸送できるのかを事前に確認できます。これにより、適切な段ボール材質の選定や包装仕様の改善、必要な強度の見極めができるようになります。

さらに、試験結果を活用することで、必要以上に厚い段ボールを使わずに済むため、過剰包装の削減や破損クレームの減少、物流コストの最適化にもつながります。

このように、圧縮試験は上積み荷重によるトラブルを防ぎ、製品を安全に届けるために欠かせない重要な評価方法です。

圧縮試験で使用される機器とツール

圧縮試験では、上から荷重を加えて箱の強度を測定するために、専用の試験機や計測機器を使用します。中心となるのは「圧縮試験機」と呼ばれる装置で、上下の圧盤(おしつける板)によって試験対象に力を加え、どの程度の上積み荷重に耐えられるかを測定します。

圧縮試験とは

圧縮試験機には、荷重を感知するセンサーや、変形量を記録するための測定装置が取り付けられており、荷重の増え方や破損する瞬間の状態を正確に把握することができます。試験機は、設定した速度で圧力を加えられるように調整されているため、実際の保管環境や輸送の状況を再現しながら試験を行うことができます。

また、試験前には、対象となる段ボール箱の大きさや重さ、湿度・温度などの条件を確認し、必要に応じて環境試験室を使用する場合もあります。これにより、季節や保管環境による強度の違いを確認することができ、より実環境に近い評価が可能になります。

圧縮試験で使用される機器やツールは、箱の強度を正確に測定し、適切な包装設計を行うために欠かせない重要な役割を担っています。

圧縮試験の実施手順を解説

圧縮試験は、包装箱がどれだけの上積み荷重に耐えられるかを確認するために、決められた手順に沿って進めます。ここでは、一般的な試験の流れをわかりやすく紹介します。

  1. 対象物を圧縮試験機に設置

    圧縮試験とは

    まず、試験対象となる段ボール箱や包装貨物を圧縮試験機の中央に正しく設置します。箱が傾いていたり位置がずれていたりすると、力のかかり方が均一にならず、正しい評価ができなくなるためです。

  2. 試験条件の設定

    圧縮試験とは

    次に、試験条件を設定します。設定内容には、荷重を加えるスピードや上限の力、試験を終了する基準などが含まれます。輸送中や保管中に想定される上積み荷重を再現できるように調整します。

  3. 荷重を加えて試験を実施

    圧縮試験とは

    準備が整ったら、圧縮試験機を作動させ、上部の圧盤をゆっくりと下降させていきます。このとき、箱にどのように力が加わり、どのタイミングで変形が始まるのかを記録します。つぶれる瞬間の荷重値(最大圧縮強度)や、圧力がかかるにつれてどれくらい変形したかなどが重要なデータとなります。

  4. 判定

    圧縮試験とは

    最後に、得られたデータをもとに、箱が必要な上積み荷重に耐えられるかどうかを判定します。必要に応じて、材質の変更や構造の見直しなど、包装仕様の改善につなげることができます。

圧縮試験は、単純な動作のように見えますが、正しい設置と条件設定が非常に重要です。丁寧に実施することで、より安全で効率的な包装設計に役立てることができます。

圧縮試験の結果の評価と分析方法

圧縮試験では、箱がどの程度の上積み荷重に耐えられるかを数値で確認します。試験後は、取得したデータをもとに「強度が十分かどうか」「改善すべき点があるか」を判断します。

まず、もっとも重要な指標となるのが最大圧縮強度です。これは、箱が完全につぶれる直前に記録される荷重値で、段積みできる段数や必要な材質を判断する際の基本データとなります。一般に、最大圧縮強度の値は、安全率を考慮して一定の係数で割り、実際に積み重ねられる荷重に換算します。

次に、圧力をかけていく過程での変形量も大切な評価項目です。つぶれる前の段階でどのくらい箱が沈んだのか、変形が均等かどうかを確認することで、構造的な弱点や補強が必要な部分がわかります。また、破損の仕方(側面のつぶれ、角潰れ、面のへこみなど)を観察することで、包装の改善ポイントをより詳しく把握できます。

さらに、湿度や温度が強度に与える影響を分析することもあります。段ボールは湿度によって強度が変化するため、必要に応じて条件を変えた試験を行い、実際の保管環境に近い状態で評価します。

最終的に、これらのデータを総合して、上積み荷重に対する安全性が確保されているかどうかを判定します。必要な強度に満たない場合は、段ボールの材質変更や構造の見直しなど、改善のための具体的な対策を検討します。

圧縮試験の評価と分析は、単に数値を見るだけでなく、変形の様子や破損パターンまで含めて総合的に判断することが重要です。これによって、より安全で信頼性の高い包装仕様を実現できます。

圧縮試験の評価ポイント

  • 最大圧縮強度(箱が完全につぶれる直前の荷重値)を確認する。
  • 最大圧縮強度を基準に、段積み可能荷重(安全率を考慮した実運用荷重)へ換算する。
  • 変形量(圧力をかけた際の沈み込みや形状変化)を把握する。
  • 破損パターン(角潰れ・側面のたわみ・面のへこみなど)を確認する。
  • 環境条件(湿度・温度)が強度に与える影響を評価する。
  • 荷重のかかり方の均一性(特定方向だけに弱点がないか)を確認する。
  • 包装仕様の改善点(材質変更・補強・構造見直しなど)を抽出する。

圧縮試験における注意点と精度を高める方法

圧縮試験を正しく行うためには、試験機の扱い方だけでなく、対象物の設置方法や試験条件の設定など、いくつかのポイントに注意する必要があります。 最も重要なのは、箱を圧縮試験機の中央に正確に配置することです。位置がずれていると力が均等にかからず、実際の強度より低い結果が出てしまう可能性があります。

圧縮試験とは

また、試験を行う前に、段ボール箱の状態を確認することも大切です。湿度を含んで弱っている状態や、すでに角がつぶれている状態では、正しい評価ができません。必要に応じて、環境試験室で温湿度を管理したうえで圧縮試験を行います。

試験条件の設定も重要なポイントです。加圧速度や終了条件を適切に設定し、実際の保管や輸送で想定される上積み荷重を再現できるように調整します。過度な条件で試験を行うと、実際よりも厳しい結果になり、必要以上の補強や包装材の変更が必要と判断されてしまうケースがあります。

さらに、試験結果を評価する際には、単に最大圧縮強度の数値だけを見るのではなく、変形量や破損の様子も含めた総合的な判断が重要です。箱がどうつぶれたか、どの部分に弱点があるかを理解することで、包装設計の改善につながります。

正確な試験手順と適切な条件設定、そして総合的な評価を行うことで、圧縮試験は安全で効率的な包装仕様の設計に役立ちます。

さまざまな製品に対する圧縮試験の適用例

圧縮試験は、段ボール箱や一般的な包装貨物だけでなく、さまざまな製品や包装形態に対して実施されています。製品の種類によって上積み荷重のかかり方が異なるため、その特性に応じた評価が必要になります。

  • 日用品や食品などの比較的軽量な製品では、段積み時の箱のつぶれを防ぐため、段ボールの材質や強度の確認に圧縮試験が活用されています。
  • 家電製品や家具のように少し大きめの製品では、内容品の重さに応じて箱への負荷が大きくなるため、輸送時の安全性を保つために圧縮強度の確認が欠かせません。
  • 精密機器や電子部品などのデリケートな製品では、わずかな変形でも内部に影響が出る可能性があります。そのため、外箱が変形しない範囲の上積み荷重を細かく確認し、適切な緩衝材や補強の検討に役立てられています。
  • 重量物を輸送するケースでは、箱自体の強度に加えて、パレットに積載した状態での圧縮強度を評価する場合もあります。複数の箱をパレット積みすることが多いため、総重量に耐えられるかどうかを確認することが重要です。

このように、圧縮試験は製品の種類や特性に応じて広く活用されており、製品を安全に届けるための重要な評価手法となっています。

圧縮試験の基準と規格について

圧圧縮試験を正確に行うためには、試験方法や条件が統一されていることが重要です。段ボール箱の圧縮強度を評価する際に参照される代表的な基準として、JIS Z 0212(段ボール箱—圧縮試験方法)があり、試験機の仕様から加圧速度、測定条件まで細かく規定されています。

圧縮試験とは

JIS Z 0212では、圧縮試験機の圧盤の平行度や剛性、荷重精度などについても条件が示されており、これらを満たした機器を使用することで測定結果の再現性が確保されます。また、加圧速度についても10±3mm/minが標準とされ、この速度に従うことで実際の上積み荷重に近い条件を再現できます。

また、段ボールの強度は湿度の影響を大きく受けるため、試験前には23±2℃・相対湿度50±5%の環境で24時間以上保持する標準状態が採用される例が多いようです。湿度が高い状況では段ボールが水分を吸って強度が低下するため、このような標準環境で試験を行うことで、比較性の高い測定が可能になります。

実務では、JIS規格の測定値をもとに、実際に何段積みできるかを判断するために「段積み強度の換算式」が使用されます。例えば、最大圧縮強度に安全率(一般に3〜5程度)をかけて許容上積み荷重を求める方法が広く採用されています。

企業によっては、保管期間が長い製品や湿度変化が大きい倉庫環境に対応するため、独自基準を設けるケースもあります。例えば、一定荷重を長時間かけ続けるクリープ試験(積重ね荷重試験)を合わせて実施し、経時変形を考慮した安全性の評価を行うなど、より実運用に近い評価方法が取り入れられています。

このように、圧縮試験では規格に基づいた測定と、実際の物流環境を踏まえた条件設定の両方を組み合わせることで、信頼性の高い包装設計につなげることができます。

SBS東芝ロジスティクスの圧縮試験

SBS東芝ロジスティクスでは、流通過程で発生する上積み荷重に対し、包装貨物が十分な耐圧強度を備えているかを確認するための圧縮試験を実施しています。当社の横浜包装試験所には、段ボール箱や包装貨物の圧縮強度を評価するための専用設備を備えており、実際の保管・輸送環境に近い条件での試験が可能です。

圧縮試験は、専用の圧縮試験機を用いて実施します。試験機では上部圧盤から一定速度で荷重を加え、箱がどの段階で変形するのか、どの荷重でつぶれるのかを精密に測定します。これにより、上積み荷重の算出、段積み可能段数の判断、包装材の選定や補強設計など、包装設計の改善に欠かせないデータを得ることができます。

圧縮試験とは

当社の圧縮試験は、JIS Z 0212(段ボール箱の圧縮試験方法)に基づく標準的な試験手法に対応しています。加圧速度や荷重の記録方法など、規格に沿った評価が可能で、より信頼性の高いデータをご提供できます。また、段ボールの強度は湿度の影響を大きく受けるため、必要に応じて23±2℃・相対湿度50±5%の標準状態での調湿を行い、環境条件を揃えたうえで試験を実施することも可能です。

また、危険物容器検査にもございますが、クリープ試験となる積重ね荷重試験も対応可能です。横浜包装試験所には、圧縮試験機のほかに振動試験・落下試験・傾斜衝撃試験・温湿度試験などの設備も備えており、必要に応じて複数の試験を組み合わせた総合的な包装評価にも対応できます。

試験後には、測定データと観察結果をまとめた報告書をご提供し、必要に応じて包装仕様の改善提案も行っています。当社は包装設計サービスも展開しているため、試験結果を基にした強度改善やコスト最適化といった具体的なアドバイスも可能です。

SBS東芝ロジスティクスは、実際の物流環境を想定した圧縮試験を通じて、製品の破損リスク低減と適正包装の実現を支援しています。圧縮試験や包装評価に関するご相談についても、どうぞお気軽にお問い合わせください。

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